始まりの色

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初めて会った日の事を、私は今でもはっきりと覚えている。 久しぶりに会ったお父さんが、私の手を引いていて。 『お前の、もう一つの家族みたいなものだよ』 と、少し照れくさそうに、彼らを紹介してくれた。 一人は、優しそうな女性。 お父さんと同じくらいの年齢で、後で聞いたら四つ上だったんだけど、小柄で少しふっくらしていて、いいお母さんって感じだった。 正直なところ、悪いけどうちのお母さんの方がずっと美人、と思ってしまった。 その隣に立っていたのは、すらりと背の高い、スーツ姿の男性。 まだ10歳だった私から見たら、すごく大人に見えたんだけど、実際はまだ24歳だった。 そして少し離れた場所で、横顔を見せていた彼。 その横顔があまりにもきれいで、私は思わず見とれてしまったんだ。 その時、中学3年だった彼は、まだ身長はそれほど高くなくて、全体的に細かった。 サラサラの髪をかき上げると、アーモンドみたいにくっきりした色素の薄い瞳が、ちらりと私を見る。 男の子にしては色の白い肌、長いまつ毛をドキドキしながら見ていると、その薄い唇が不意に開いた。
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