0人が本棚に入れています
本棚に追加
****
それから2年が過ぎた。
僕は庭付きの一戸建てを買い、そこに絵里と住んでいる。
親や周りに反対されたが、僕達は結婚をした。結婚式はあげていない。
いつか絵里の病気が治って、元通りになったときに式をあげようと言っている。
しかし、そのためには下半身を見つけなければならない……
いったい下半身はどこに行ったのだろう?
恐らく警察も既に捜査はしていないだろう。
僕達も日常生活にそれほど不便はしていないので、下半身の事はあまり気にしていない。本当は気にするべきなんだろうが……
僕は上半身だけで朝食を作る絵里の後姿を見ながら「病院、何時だっけ?」と言った。
「確か10時から」
絵里はそう答えて、時計を見る。
「ごめん。早く作るね」
「ううん。慌てなくてもいいよ。どうせ今日も診察結果は同じだろうし」
しかし、その日病院に行き、診察室に入って僕達は驚いた。
「え?渡辺先生が捕まった?しかも、今日の早朝?」
いつもの曜日にも関わらず担当医が違い、変だなぁとは思ったが、まさかの出来事である。
「えぇ、胴体分離症の人の下半身を所持していましてね」
「えっと……」
僕と絵里はうまく情報を処理する事が出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!