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「本当に申し訳ないのですが……」と担当医は顔を歪ませて言葉を続ける。
「絵里さんの下半身が、渡辺先生の自宅から発見されまして……たぶん、今日中には警察からも二人に連絡がいくと思いますが……」
え?
え??
じゃあ、もしかして……
「渡辺先生が絵里の下半身を盗んだ犯人?」
「そうなります」
僕と絵里は困惑した表情を不快な顔に変えた。
僕達の感情を察した担当医は、深く頭を下げて「しかし」と下を向いたまま口を動かす。
「渡辺先生を責めないであげてもらいたい」
「何を馬鹿な……」
怒りを露わにして僕は立ち上がった。
「絵里さんの下半身を盗んだのは犯罪です。しかし、渡辺先生は独自で分離症の治療法を探し研究していたのです。恐らく、患者に頼んだところで協力してくれると思わなかったから、犯行に及んだのだと思います」
「ふざけるな!!」僕は叫び、担当医に唾を飛ばす。「だからって、絵里の身体だぞ!!生きてる絵里の身体だぞ!!下半身が無い事で、どれだけ僕達が……」
「隆ちゃん。落ち着いて」
絵里は抱きかかえられながら僕をなだめる。そして、目の前に居る担当医に質問をぶつける。
「でも、どうして今頃になって?」
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