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「そりゃあ、22世紀にもなれば未知の病気も出てくるというものですよ」
テレビのニュース番組にゲストで呼ばれた医者がそんな事をコメントするものだから、僕は「いいからさっさと治療法を見つけろよ」と悪態をつきテレビの電源を切った。
空間に表示されていた映像は瞬時に消えて、その向こう側に居る彼女……絵里の姿が僕の目に映る。
絵里は僕の方を見ながら「隆ちゃん、早く治療法が見つかるといいね」と言った。
「うん……でもその前に、絵里の下半身を見つけないとな」
「うん……」
力なく返事をする絵里に僕はどんな言葉をかけてやればいいか分からなかった。
―――絵里には下半身が無い―――
……と言っても、事故で下半身を失っただとか、元々無かっただとか、そういうことではない。
胴体分離症という未知の病気だ。
この胴体分離症にかかると、身体の上半身と下半身が半分に、そして綺麗に分離してしまう。
しかし、ただ分離するだけではない。
分離しているにも関わらず、上半身と下半身は見えない空間により繋がっているのだ。だから、どちらも生きており、食べた物は上半身から下半身に送られて、下半身が感じるものは上半身を通じて脳へと伝わる。
発症のメカニズムは分かっていない。
ウイルス、人類の進化、空間の歪み、オカルト、薬の副作用。
様々な説が発表されているが、どれも「これだ!」という結論に至ってはいない。
しかしまぁ、ただ分離するだけなら上半身と下半身を接合すればとりあえずは見た目だけでも元通りになる。ところが困った事に、絵里は大事な下半身を何者かに盗まれてしまった。
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