君の半分と僕

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絵里と僕は築十年になるアパートで同棲しているのだが、絵里がある日突然胴体分離症にかかってしまい、上半身と下半身が綺麗に分離してしまったのだ。 分離しているだけで、体調に変化は無い。下半身だけでも歩く事は可能だけど、視覚情報が無いので壁にぶつかったりコケたりと見ていられない。 だから僕は絵里の上半身だけ抱えて病院へと行った。診断結果は見ただけでそれだとわかるので、医者の口から説明されても「でしょうね」としか思わなかった。 治療法は無いが、命に別状はないのでそれほど心配する事もない。 というわけで、絵里と話し合った結果、今まで通り同棲生活を送る事になった。とりあえず上半身と下半身を接合する器具でも買おうかと計画を立てている時に、それは起こる。 僕が絵里の上半身を抱えながらショッピングに行っている最中、絵里が「ひゃあ!!」と声をあげて身体を捩じらせたのだ「くすぐったい!!」 どうやら何者かが絵里の下半身に触れているらしい。 まさかと思って急いでアパートに帰ると、そのまさかだった。 部屋は荒らされて、絵里の下半身が無くなっていた。 空き巣? 警備ロボットを配置しておくんだった……と後悔したがもう遅い。 僕は絵里を部屋に残してアパート周辺を捜したが、犯人らしき者は見付からなかった。 警察に相談してみると、どうやら世界中でそういう事が起こっているらしい。 女性の下半身だけを狙う変態の仕業だ。 下半身コレクターと呼ばれるそいつらは、胴体分離症患者を見つけると、下半身だけを盗み家に飾るらしい。
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