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まったく……面倒な輩に目をつけられてしまったものだ……
僕はそんな事を考えながら、「大丈夫か?」と床に上半身を乗せている絵里を持ち上げて椅子に乗っける。
「大丈夫だけど、たまに下半身がくすぐったい」
「変な事されてんじゃないのか?」
「そういうわけじゃ無さそう……トイレ以外は……」
顔を赤らめる彼女を僕は口を半開きにしながら見つめる。
早く下半身を見つけないと……
でもどうやって捜せばいいのだろうか?
誰が犯人なのだろう?
空き巣に入り偶然下半身を見つけてついでに盗んだ可能性も考えられる。つまりはコレクターの仕業じゃなく普通の空き巣だ。部屋を荒らされていた事を考えるとそうなのかもしれない。
警察も捜査してくれているが、正直あまりあてに出来ない。犯人の指紋等は検出されなかったそうだ。
下半身を見つける方法が見付からないまま時は経ち、月に一回の通院日がやってきた。
「んじゃ行こうか」
僕は絵里を抱き上げて部屋を出る。車椅子を絵里のために買ってあげたいがお金がない。
絵里を抱きながら歩くと好奇な目で見られるが、もう慣れたものだ。
絵里も最初は恥ずかしがっていたが、最近はとくに何も気にしない。
僕はそんな明るい絵里の姿に惚れた。この子と居れば、きっとどんな事でも乗り越えていける。
この先もし下半身が見付からなかったとしても……
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