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「ちょっと、待ってくれ」
帰ろうとするマリアを呼び止めたのはディラン王子。
王子の登場に周りも静かになります。
「君は私が招待した子だね?」
「はい……マリアと申します」
「マリア……おっと、靴を忘れたのかい?ははっ。ちょっと待ってて」
マリアが靴を履いてないことに気づいた優しいディラン王子は家来の元に行くと家来に頼んで靴を用意してくれたのでした。
「わぁー素敵なシューズ」
「ははっ。サイズは合うかな?君の髪の色に合わせて金色の靴にしてみたよ」
「でもこんな高そうな物本当に戴いてもいいのですか?」
「もちろんだよ。私が招待したんだしね」
「ありがとうございます。……でも何故私なんかを?」
「……ちょっと噂を耳にしてね。君の」
「そうなんですか?」
「まぁ、とりあえず一緒に踊ろうか」
曲が流れ初めると、ディラン王子のリードでマリアはディラン王子と一緒に踊り出しました。
上手に踊れないマリアをディラン王子がフォローしてくれます。
「君、ダンスは初めて?」
「……はい」
「大丈夫。そう、私のステップに合わせて」
「はい!」
足元を見るのが精一杯のマリアはディラン王子の視線に全く気づきません。
「君……近くで見ると本当に綺麗な髪の色をしているね」
「あっありがとうございます」
「生まれつきかい?」
「いえ……実は父も母も銀色の髪で私も最初は半分が銀色の髪で、もう半分が金色の髪の2色だったんです」
「へぇ。それは変わっているね」
「そうなんです。私それが本当に嫌で嫌で。私、実の娘なのかなって疑いながら18年間生きてきたんです。
でもこの間……18歳の誕生日の翌朝になると不思議なことに髪の色が全部変わっていたんです」
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