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免許を取ったばかりのオレに、車の走らせ方を教えてやると告げたオッチャン。
教習車はオッチャンがずっと乗ってる、ネズミ色にくすんだセダン。今日のメニューは高速教習だった。
教習所で習った手順を思い出す。
左足でクラッチを切って、右足はブレーキペダルへ。シフトノブをニュートラルに戻して、キーを捻る。セルモーターが作動して、低いエンジン音が戻ってきた。
シフトノブをローに入れて、さっきより少し高めのエンジン回転数でクラッチをミート。
アクセルペダルをグッと踏み込むと、車体をガクガク揺らしながら加速し始めるオッチャンのフォードアセダン。助手席のオッチャンの首もガクガクと揺れている。
上り坂の先にちょうど夏の太陽が輝いていて、眩しいことこの上ない。
「もっと加速しろ。そんなのじゃ、流れに合流出来ないだろ」
サングラス越しにメーターを睨みながら、助手席のオッチャンが不機嫌そうに呟いた。
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