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小学校低学年になって、オッチャンにはオッチャンの家族がいることを知った。つまり、そういうことだ。
でも、オレにとってオッチャンはあくまでオッチャンだった。
夏は海で泳ぎ方を教えてくれたし、冬は蟹を食べに日本海の温泉街へ連れて行ってくれた。その温泉街を舞台に書かれた短編があると、志賀直哉の文庫本も買い与えてくれた。
ある日、オッチャンとの待ち合わせ場所へ向かうと、見慣れない車が停まっていた。純銀に輝く細身のボディライン、水冷の直列六気筒エンジンを納めた長いノーズ、テールには誇らしげな丸形四灯デザインのランプ。
当時、発売されたばかりの最新車の運転席から降りてきたオッチャンは、いつもよりちょっとカッコ良く見えた。
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