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「遅いじゃない。どこで道草くってたの?」 「そんな古い言い回しやめてください。一気に年をとったみたいですよ」 「うわ、レディにそういうこと言うのね」 大広間の真ん中にあるテーブルを挟んだ奥の席についているノダが、肩をすくめる。ラボにいるわけではないが、彼女は白衣を着たままだった。ロッコを見て頬を緩める。 「あら、ロッコ君また少し背が伸びた? いつかはコグレを抜かしたりするかしら」 声をかけられたロッコは数度瞬きしてから小さくお辞儀をする。無味乾燥した青い瞳は、やや揺れていた。 コグレが近くの椅子に腰掛けるのを待って、ノダは指を組み直す。ため息混じりに「で、」と話を切り出した。 「用事はなにかしら。わざわざ自分の家に呼び出すなんて、テロでも画策するつもり?」 「そんなに期待しないでください。少し前に追っていた下層のチャイを覚えていますか? 取り逃して以来全く足取りがわからなくなった、油まみれの少女です」 「よくわからない少年と、〈7T91〉、通称リッサが邪魔をしてきた一件でしょ。忘れるわけないわ。それで?」 「その、よくわからない少年、の方が所持していた銃から放たれた物質の解析結果が届いたんです」 「ああ、あなたが個人的に頼みたい人がいるからって言っていた話ね。結構かかったのね」
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