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「ペア殺し、ねえ……」 品性を感じさせない言葉を復唱してから、コグレは足を組んだ。ランプの明かりがゆらりと揺れる。 「そういえば、見つかったペアはどこが解析してるの? 私、今回はほとんど何の話も聞けてないんだけど」 「CTクラスですよ。まあまあ、妥当でしょう」 「出た~。ま、だろうと思った。第一、あそこの研究レポートの提出速度は頭がおかしいのよ。何が何でも速すぎる。あんなのに敵うわけがないわ」 いじけたように、テーブルについた肘の上に頭を乗せて伏せ目がちにコグレを睨む。ノダの視線などどこ吹く風か、コグレは肩をすくめて髪を耳にかけ直した。 「そんなことを俺に言っても仕方ないでしょう。とにかく、あの少年です。身元にも容姿にも心当たりがないなんておかしすぎる。髪が黒髪のように見えたのも気になりますし、少し調べてみるのも一手かと」 「そうね。私の方でも調べてみる。何かわかったら声をかけるわ」 「バレないように、頼みますよ」 そう言ってコグレはロッコに向かって手を出す。ロッコは黙ったまま、その手の上に何かを乗せた。それは、機械の部品の一部のように小さな、鉄くずからいくつも足が生えた何かであった。
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