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キューシャがしまったと思うことすら想定内だったのか、コグレは厚かましいほどの満面の笑みを浮かべて手の平を天井に向ける。
「昔はこうして、雨が降っているのかを確認したんだそうですよ」
「へえ……」
苦い顔を浮かべたまま、横目で玄関の仕切り布を一瞥した。そのまま、部屋の中へ入るよう手で促す。
「……中へ、どうぞ」
「どうも。ありがとうございます」
白衣が玄関に足を入れたであろう音を耳に入れた瞬間に、カイは二人の肩を叩いた。サイレンの音にかぶせて話すと、耳元で言わない限りは何も聞こえないのが、アムルンという場所だった。
「これが鳴り終わる前にすぐそこの部屋に隠れろ。ドアは閉めなくてもいいから、とにかく音をたてないように」
「うん」
ナナが何かを言う前に、サヤが強く頷いた。二人が立ち上がったと同時にサイレンが止まり、キューシャが玄関の扉を閉める音が重く耳に入る。カイも、音をたてないように慎重に立ち上がった。
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