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ゆらりゆらりと不安定に揺れながらその場を浮遊するそれは、大きなローブを着た人影だった。
足が見えないほどに長いローブと顔が見えない大きなフードで顔を隠した彼らは、モーター音を唸らせながらゴンドラを囲んでいく。
フードからローブの裾まで、前を複数のベルトで固定している、手に長い櫂を持った浮遊団体。アムルンに住んでいて、かつラボにいるならば、彼らを知らない人物はいなかった。キューシャははっと息をのむ。
ーーあれが噂の……。
「船乗り……!」
ノダは奥歯をきりりと鳴らすと素早くゴンドラの扉を閉めて鍵をかけた。ラボの施設内まで行ってしまえば、相手が誰であろうと目ではない。ラボは彼女たちの庭であり家であり居場所でありシェルターなのだ。
「早く出して! エンジンは後で足すから使い切ってもいいわ。それからコグレに、すぐに研究室に戻るように伝えてちょうだい! 線路がつまると逃げる道が減……」
言いかけたノダは言葉を失って唇をかんだ。半透明な白いゴンドラの前方が、薄黒く濁っている。
ノダが言葉を詰まらせることを読んでいたように、機械で加工された声が、ゴンドラの中に響いてきた。
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