7. 世界に蔓延る彩色の宴

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 斥力場は【レグナス】に対する物体(あらゆる分子、素粒子郡)を遠ざけるだけではない。  力場に触れたモノなら、その構成粒子同士をも引き離し乖離させる使い方もできる。  故に、どんなモノでも素粒子単位にまで分解する暴君なのだ、コイツは。  通りすがりで跨いだメイド型の三体は上体がバラバラになって吹き飛び、運搬作業中の浮遊コンテナの平らな横っ腹に大穴を開けて、壁や柱を貫通しながら慣性で突き進む。  しかし当然その反動は分解に必要なエネルギーに比例して大きくなるので、なかなかに減速された。  また一枚壁をぶち破り、小型機の格納庫天井付近に躍り出る。 「んじゃ、いつも通り頼むぜ? 相棒」 『相変わらず走空機使いが荒いな、貴殿は……』  直後、空中で俺は【レグナス】から手を離し後方宙返り。  走行時の慣性を完全に消し去り、一〇mほどの距離を真下に落ち、小型走空機の合間に降り立つ。  二手に別れた目的は撹乱と敵戦力の分散だ。  一方が艦橋を、もう一方が艦内を制圧する。 【天征眼】で周辺状況を確認。  格納庫の出口を見つけた。  まずはそちらに向かうとしよう。  俺の役割は、いつも通り艦橋の制圧だな。  この船の航路を反転させ、街に戻さないと。     
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