7. 世界に蔓延る彩色の宴

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 俺に触れたあらゆるモノを加減速することが可能で、いまの回避は俺自身の移動を【加速】したもの。  ミサイル回避時から脳の処理速度を【加速】しているのは、これの内部使用だ。 【翼】を出さなくても使えるが、能力は低く制限される。  無論、デメリットとしては制限を取り払えば負荷が増えて、リスクも増大するわけだが。  左後方で爆発音。  狙いを外した砲弾が黄色い乗用機の上部に命中し、半径五〇cmほどの光球へと変貌し、次の瞬間にはそこにあった物質と共に、全て消失した。  【着時消尽砲(ブラスト・イレイサー)】、だな。  射出後、最初に何かに触れた時点でそこを中心点とし、指定範囲内を核融合反応で焼尽する凶悪な兵器だ。  エネルギー源としての核融合炉を兵器転用した例で、雑な作りだが攻撃力はケタ外れなのが厄介過ぎる。  一発目をしくじったアンドロイドが、小型機の影から通路へと躍り出た。  顎関節が外れたオッサンみたいなアホ面を俺の背に向けて、第二射を放とうとしている。  俺は前方宙返りをしながら右大腿の黒革製のホルスターに手を伸ばす。  銀色の銃把を握り、前方宙返りが半周に差し掛かった頃――俺の頭と足とが天地逆さになりアンドロイドと目が合った。  奴の砲台が二度目の火を吹く。     
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