7. 世界に蔓延る彩色の宴

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 我が銀色の愛銃【バルク】はトリガーを二度連続で引かれ、軽快な次弾装填音とは裏腹に、その銃口からはいつも通り何も出ない。  空を裂き迫り来る核融合の砲弾。  けれどそれは道半ばで唐突に砂塵と化して霧散し、同時に、アンドロイドの頭部も砂になり崩壊し始める。 【波動崩落弾(ウェイブ・フォールアウト・バレット)】。  俺の銃から飛び出したのは、不可視の弾丸だ。  撃つ前に予め目標物を設定しておき、それを崩落させる周波数の波動を発生させ、目標地点における対象分子構造のみを崩落させるという静音かつ精密な、力場放出兵器である。  ただし脳神経リンクによる目標設定と周波数調整に時間が掛かるため、スナイパーのように遠隔から腰を据えて使用するのが一般的だな。  俺みたいに宙返りしながら撃つ奴は、まず居ないだろう。  そんなことを考えつつ前宙が一周したので着地し、左右の物陰に潜み機を待つ複数のアンドロイドに向け、続けざまに引金をひいた。  小型機の影で続々と砂になるアンドロイドたち。  物陰に隠れていても、指向性かつ局所的な破壊が可能なこの武器は、射線上の目標以外の何物をも傷つけることがないので非常に安全性にも優れている。  間違って射線に入ってきた同僚を撃ち抜いたり、予想外な跳弾をして大事なものをぶち壊したりしないのだ。 ……素晴らしい。     
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