7. 世界に蔓延る彩色の宴

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 メイドさんを一刀両断し、すれ違い様に二体目を振動刃ごと三枚に卸して、翻って警棒を持つ手首を跳ね飛ばしたとき、足元にボールみたいな何かが転がった。  灰色の球形――割れて、中から紫色のガスが噴き出る。  毒煙弾か。  手榴弾の一種で、皮膚接触だけでも有機生命体の細胞を容易く破壊する猛毒のガスを振り撒くという無差別で無慈悲な殺戮兵器だ。  近接戦闘員に気を取られ見逃したか。  戦闘を中断し、即座に毒ガスから退避。  人間の足では回避できないはずのタイミングで投擲されたそれを、異常な速度を以て躱した俺を見ても動じることなく、お手伝いアンドロイドたちは、近接戦闘から遠距離戦に方針を切り替え、容赦なく重火器を連射してくる。 ――そんな最中。 <通信要請。セレスティア>  突如脳内に響く機械音声。  青い宝石を模したピアス型の【CⅢ――意識接合型通信機(コンシャスリィ・コネクテッド・コミュニケーションデバイス)】に、着信が来た。 「ったく、こんな時に……!」 【応答する】と思考選択すると、通信機がその思念波の波形を読み取り、回線が開く。 「何の用だ?」 <何の用だ、じゃない馬鹿! 貴様いまどこにいる!? こっちはさんざん振り回されていい迷惑だ!>  通信先で、可憐な少女が怒声をあげている。  いや待て、可憐な少女は怒声をあげるのか?  しかし声は可憐なのだ。     
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