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「……面倒だが、寄り道するか」
俺は【白刀】で足元を円形に繰り抜き、階下へと落ちた。
さらに落ちて、落ちて、落ちていく。
行き着いた先は、積荷格納区画。
最下層に位置するその薄暗い中規模ホール並の空間には、一軒家ほどの巨大なコンテナやら流体ゴムで覆われたよく分からんオブジェみたいな物まで所狭しと並べられていた。
目的地はこの更に下だ。
この下にはもう何もないよ――とでも言わんばかりに床は真っ平らで下への階段なんて見当たらないが、俺の【天征眼】にはちゃんと見えている。
――円筒形、いや、長球型の方が近いか。
長径が二〇mくらいのデカすぎるラグビーボールみたいな形で、その中に女子供ばかり五〇人が【積荷】として詰めこまれている。
全員、微動だにしない。
仮死状態にされてカプセルベッドみたいな物の中で固定されているのだが、それが階層的に、立体的に息苦しいほど重なっていて。
人を、モノとして扱ってやがる。
商品として、輸送しているんだ、この船は。
反吐が出るぜ……クソが。
瞬間的に渦巻いた真っ黒な感情はひとまず横に置いといて、コイツらを早く助けるためにも、まずはこの状況を本部に伝えねばならない。
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