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△弐
気が付くと、真っ暗な世界に居た。
何も見えない。
光の無い世界。
ボクの身体は動かない。
光を求めようにも、どうしようもなくて。
不安だ。
不安で、心細くて、寂しくて、誰かに会いたい。
誰か……?
誰に会いたいんだろう?
誰か、ボクを助けに来てくれるような人なんて、居るのかな?
…………う~ん。
考えても、少なくともボクには、思い浮かばなかった。
ボクを心配してくれるような人間は、この世には居ない。
そんなくだらない事実が分かってしまっただけで、再認識されてしまっただけで、考える意味などないのに。
考えなければ、良かった。
考えるのをやめる。
やめて、また眠りにつこう。
そうすればきっと夢の中で、笑っていられる。
そう思って、無心で、また闇の中に漂う。
……上も下も、右も左も分からない世界。
重力を感じない。
ふわふわ浮いているような感覚。
もし胎児の頃の記憶があったなら、母親の胎内というものはこんな感じだったんだろうか……。
そんな取り留めのないことを、また無意識に考えてしまっていて、母親という存在を思い出してしまって、心の中をまた闇に侵食されそうになったとき――
光が、迸る。
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