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下に視線を向けると、ボクの、身体が……顔が、見えた。
あれ?
どう、して……?
ボクは、自分の顔を見ることができるのだろう?
鏡、ではない。
周りの皆と同じように、ボクの身体は、病衣みたいな白装束に包まれて、ガラス張りの一人用ベッドみたいなモノの中で眠っている。
じゃあ、それを見ているボクは、一体なに?
恐る恐る両手を、目の前に持ってくる。
見知らぬ他人の手が映ってしまったらどうしよう?
そんなことを考えながら見えた手は、ボクがよく知る、ボクの白い手だった。
けれど一つ違和感があって、それは……先ほどの天使よりも、肌が透けていたこと。
これは比喩ではなく、物理的に、それこそガラス細工のように反対側が透けて見えていた。
自分の身に何が起こったのか?
一つ思い当たったのは、昔聞いた、幽体離脱の話だった。
人を構成するのは肉体だけじゃない。
肉体と、心と、魂。
その三位一体。
幽体とは、心の体のこと。
幽体離脱とは、心と魂が肉体から分離してしまった状態だと聞いた。
何故、ボクがいまそうなってしまっているのかは分からない。
けれど、それならそれで良いことを思いついた。
ボクの肉体はいま動けないけれど、幽体は自由だと分かったのだから。
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