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そうして上を目指していくうちに、何か黒い感情と、赤い感情のようなものが感じ取れた。
黒は、悪意、かな?
赤は、激情、みたいなモノかも。
きっと、赤が彼だろう。
紅蓮の長外套を思い出して、そちらへ向かうことに。
……胸騒ぎがする。
黒い感情が、渦を巻いているから。
何か、良くないことを考えているように思えた。
手遅れになる前に、彼に伝えなければ。
壁をいくつもすり抜けながら、気持ちばかりが焦る。
天井をまた突き抜けて、やっと彼を見つけた。
彼は、上下左右に激しく動きながら戦っていて。
数多のアンドロイドに囲まれながら、【白銀の銃】と、【白刃の直刀】で迫りくる全てを切り裂き屠り砂塵に変えていく。
ボクは必死に彼の近くに寄って、彼に伝えようとするんだけど、声が出ない。
彼も、ボクの存在に今度は気づかないみたい。
そうしている間にも黒い渦はどんどん大きくなって、それは弾けようとしていた。
どうすれば……どうすればいい?
想いを伝えるには?
声は出せない。
身振り手振りも意味がない。
心を伝えるには……心を、伝える?
心、幽体とは、心の体。
なら……!
ボクは意を決し、彼に触れた――
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