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手下共もいい加減、コイツに見切りをつけ始めているのかも知れない。
この辺で、潮時か。
「ぬぅぅ、キぃサぁマぁぁぁあああ!! この儂を侮辱するたぁいい度胸じゃねぇか!? 覚悟はできて……ッ!?」
赤い顔して捲し立ててきた初老の口内に、銃口を突きつける。
「ぐっ……」
俺は座ったまま、銃身が一mを超える長射程長銃を取り出して、引金に指をかけていた。
それを、急に押しこむ。
「ひぃ……ッ!?」
それだけで、腰を抜かして尻もちをつきやがる。
弾なんて出ねぇのによ。
「まぁ、報酬分は働くさ。そこで座って見ててくれよ。船長様?」
俺は立ち上がり、恭しく貴族みたいに一礼すると、乾いた笑みを浮かべて雇い主を見据えた。
「クッ……若造が」
口をパクパクさせながらそれだけやっと絞り出したチキン野郎は放っておいて、俺は無数のモニターに目を移す。
船内の至るところに張り巡らされた監視カメラの映像群。
その多くに、横たわる戦闘用改造アンドロイドの姿が見える。
敵は一人だが、とんでもない化物だ。
舐めてかかると首を切り落とされるな。
「カメラの映像を、俺の目にまわせ」
俺はまず乗組員の一人にそう告げ、右の眼窩に嵌めこんだ人工眼球と、監視カメラ郡を繋げさせた。
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