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左手から迫り来る青年型アンドロイドの縦斬り。
俺はその刃の裏側、奴の持ち手側である左側面へと瞬時に飛びこむ。
刃が俺の頬をかすめていく。
そのまま刃の通行を許せば俺の胸板をスライスされてしまうので、俺は銃を握ったままの右手で、横からちょいとその腕を押してやる。
ただそれだけで、簡単にスッと軌道が逸れるのだ。
縦振りは縦方向へのベクトルしかないのだから、横方向の力には弱い。
初歩の力学だな。
俺は半身を入れ替え、がら空きになった奴の上体に【白刀】を叩きこむ。
何の抵抗もなく刃は通り過ぎ、青年の形をした無機物は多数のパーツを飛散させながら天井近くへ舞い踊った。
俺のその行動を正確に予想していたかのように、三発の【着時消尽砲】が俺の胸、肩、腹部目掛けて飛来。
振り切った刃を静止せず、回転に任せながら我が身を引かせ、更に下半身を脱力させ膝関節のロックを外し屈むように重心を下げて、飛来するそれらを頭上にてやり過ごす。
発射元に足を向け、飛び出そうとしたその刹那。
「――ッ!?」
息が詰まるほどの強烈な悪寒を感じた。
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