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全身が総毛立つほどの忌避感……それを、その黒い何かを感じた方向には壁があるだけだと分かっていても尚、思わずその方向を見ようとしてしまって。
そんな暇はないことも直勘していたから飛び出しかけた足を引き戻し、現状の戦闘局面においては愚策でしかないが、後方へと――未だこちらに大口開けて砲台を向けるアンドロイドと距離を取る方向へと、俺は身体を投げ出した。
そう投げたのだ。
回避したとかステップを踏んだとかそんな華麗なもんじゃない。
ただ無様に、転ぶように身を放り出した。
結果として見えたものは、俺が進もうとした先、一歩先で、突如空間が揺らぐ光景。
そして、強烈な光を一瞬放って何かが沸騰したように蒸気が……ッ!?
これは、【波動崩落弾】の収束点、だと言うのか?
激しい戦闘を繰り返す俺の位置を正確に割りだし、狭い廊下というこんな見通しの悪い場所での、精密狙撃だと!?
床に背部から着地。
強打による呼吸の乱れに苦しみながらも、動きを止めるわけにはいかない。
俺はそのまま後方に転がり、【着時消尽砲】の第二射郡を【バルク】の連続発砲で無力化し、起き上がるとすぐに踵を返して退却を決めこんだ。
冗談じゃない、分が悪すぎる。
こんなんまともに相手してられるか!
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