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不規則に動いて位置を予測されないように動きながら、この悪魔の如き狙撃手への対策を考える。
――そのときまた、黒い何かを感じた。
刹那、背後で発光。
こいつは、【波動崩落弾】で間違いないな。
目標を見失った共振波動の増幅点で、対象とされた分子と同じものがあれば崩落現象を起こし、余剰エネルギーが光として放出される――要はミスショットの証だ。
どうやら黒い何かと狙撃手は関係があるようだな。
というか同一か?
何にせよ確かめる必要がある。
現状【天征眼】は近接戦闘用に半径五〇mほどでしか展開していない。
黒い何かを感じた方向には、少なくとも五〇m先までは何もなかった。
つまり、俺の眼の範囲外か。
少し、範囲を広げる必要がありそうだな。
この船全体を精査した時みたいに、いや、方向が分かっているのだから、そっちに向けて限定的に、二〇〇mで行くか。
この船の全長なら、それでこと足りるはずだ。
廊下を走りながら【バルク】で壁を一部砂に変えて潜り抜け、【白刀】で床板を切り抜いて階下へと落ちつつ、【天征眼】の視覚を伸ばして行く。
――俺の【眼】は会食室を通り、上へと長く続く広めの階段へ。
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