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木造船のような開けた甲板を突っ切り、船体後部上方には艦橋が――見つけた。
青白い密室内で、こちらに長銃を向けて下卑た笑みを浮かべる黒髪の青年。
青い布で黒髪を適当にまとめていて、その下に覗く瞳は左右で色が異なる。
左の瞳は赤いが、右は黄金色で白目部分が黒い――人工眼球だな。
黒革製の上下で身を固めて、スラっとした長身は一八五cm……俺と同じくらいか。
病的なまでの肌の白さは極度の引きこもりがなせる技だな……人のことは言えないが。
コイツ……若いくせに、なんでこんな退廃的な仕事に就いてんだ?
チャラチャラと髑髏系のアクセサリーやら悪魔的な物を身に纏っていることから、そういうのが格好いいと思っているタイプか。
足を止めて、奴を見据える。
幾層もの壁を隔てていても、目が合ったことには気づいたようだな。
驚愕に目を見開き、呆けた口が半開きだぜ?
その眼の正体は分かった。
人工眼球と、艦橋内で展開されている無数のモニター郡――船内に設置された監視カメラ郡の映像データとを連係させれば、俺の位置を測定・予測することも可能だろう。
思えば、アンドロイドたちの動きもそうだったんだな。
何か視覚以外の感知センサーでもあんのかと思っていたが、そうじゃなかった。
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