△肆

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 単純に、視覚を拡張しただけの話だったんだ。  船内監視カメラと、アンドロイドの視覚センサー、その全てをリンクして、共有して、アイツは俺の位置を計測してやがった。  なるほど。  なら、この船のどこにいても、奴の射程範囲内からは逃れられないってことか。  まぁ、逃げてるだけってのは性に合わないし、いいけどな。  思わず不敵な笑みが溢れる。 「狩りは楽しかったか? 次はオマエが狩られる番だぜ」  わざと声に出してそう宣言し、俺は奴に向かって一歩を踏み出す。  俺の口の動きからか、もしくは監視カメラと共に音響センサーも兼ね備えているのかは知らないが、奴は目に見えて焦りだした  次弾を取り落としそうになりながら慌てて装填し、ロクに照準も定まらないままぶっ放してくる。  俺の数m横で、増幅点が出現。  武器本体が見えた以上、奴の狙う方向も、撃つタイミングも、もう手に取るように分かるんだよ。  俺は駈け出した。  このまま一気に、艦橋制圧といこうか。  斜め前方に向けて飛び上がり、行く手の障害物を排除していく。     
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