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天井、壁、テーブルや置物を砂に変えて、今度は進路上に狙いを修正してきた【波動崩落弾】を躱し、長い木目調の階段に降り立ち駆け上がっていく。
この階段の横は、もう外だ。
階段の途中には踊り場のような休憩スペースが定期的にあって、大きめの窓が嵌められている。
船の中央付近で甲板よりも高い位置にあり、展望台兼レストランへの道すがら景色を楽しむための演出かな。
まぁ、何でも良いけどよ。
俺はそのデカイ窓に向けて、引金を引く。
強化ガラスが砂と化し、内外の気圧差により外へと猛烈な勢いで吸い出される。
その気流は俺をも巻きこみ、身体が風に引っ張られ宙に浮いた。
一拍遅れて、階段で増幅点の発光。
それに目もくれず、空中で体勢を立て直しながら外へ。
投げ出され見えた景色――朝焼けの空は晴れ渡っていた。
広がる群青の大空を泳ぐこの船の上で、俺は翼を広げ、風を掴む。
目指すは後部上方、艦橋。
追い風を受けて、この身は更に【加速】された。
――刹那に、音速の彼方へ。
衝撃波と爆音を置き去りにして、壁面との衝突寸前に撃った【波動崩落弾】で空いた穴へと身を投じる。
青白かった部屋に陽光が穿たれた。
いまや人工的な光は駆逐され、自然光の圧倒的な光量に眩く照らし出されている。
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