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そしてまたも気圧差で、内部の空気が外へと強引に誘われて。
突如起きた気流に抗うべく、艦橋内にいた人間は一様に何かに捕まり、飛ばされまいと足掻いていた。
俺はその中を悠然と歩き、這いつくばりながら近くの取手を掴んでその身を支える男の前で立ち止まり、銃口を向ける。
その間、船の防護装置が働き、俺が開けて入ってきた穴は半透明の流体ゴムで塞がれ硬化していき、徐々に気流は収まり始めていく。
下から憎々しげに見上げる黒髪のスナイパーは、こんな激しい気流の中にあってもその長銃を離さず抱えていたので、俺はそのトリガーを撃ち抜いた。
ハッと視線を手元に移すスナイパー。
指先の感覚で、トリガーが砂になったことに気づいたのだろう。
続けざまに三発発砲。
ついでに透過視力【天征眼】に映った他の銃や凶器も砂塵に変えておいた。
胸元、太腿の横、左腰……けっこう持ってたな。
商売道具がガラクタになり、茫然自失の体となった魂の抜け殻は放っておいて、艦橋の制圧を進めるべく、俺は他の人間へと向き直る。
「さてと、全員大人しく投降してもらおうか」
と、言っても、もう反撃能力はなさそうだ。
乗組員の構成はこの艦橋内にいる男性ばかり一六名だけ。
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