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「ああ。生存権は、誰もが平等に持つものだからな」
出入り口まで辿り着いたので、開閉パネルに手を置く。
割りと厳重だったロックが解除され、緩やかに開き始める。
俺はそれを待つ間に、肩越しで首だけ振り返り、告げた。
「――ただしオマエには、これから生き地獄を見せてやるぜ」
殺しはしないし、簡単に死なせるつもりなど毛頭ない。
この世の地獄できっちり精算してから、あの世の地獄に行けってんだ。
皮肉げな笑みを浮かべてやったら、髭面の茶髪船長は絶句してた。
俺はそれを見て満足し、もう振り返ることはなく艦橋を後にする。
……艦橋を出て木張りの廊下を進み、近くにあった甲板との出入り口へ。
一枚扉を潜って気密室へ入ると、後ろで入ってきた扉が自動的に閉鎖される。
室内の壁に埋めこまれたパネルで慣れない操作をしようと思っていたら、艦橋からの操作があったらしく勝手に外へ出る準備が始まった。
気密室内の空気圧が下がり、外気と平衡を保つよう設定されていく。
何枚もの防護壁が複雑に絡みあう外部への最終関門が、ゆっくりと解かれた。
眩くオレンジ色に輝くまで高度を上げた朝焼けが、網膜を焼きに飛びこんで来る。
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