7. 世界に蔓延る彩色の宴

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 分子から乖離された電子による放電発光現象。  綺麗だな……とか見とれてる場合じゃねえ。  斥力場より爆風の方が強い。  このままでは境界面を突破されて炎に飲まれる。  斥力場にてせき止めていた運動エネルギーを一部開放。  車体がひしゃげそうなくらいの凶悪な圧力が途端に俺とレグナスを襲う。  しかしこれにより、レグナスは爆風の援護を受けて加速。  誘導装置に簡単に読まれる自動操縦を切って正解だ。 ……と思ったのに、右にも左にも逃げ場はなかった。  どちらに逃げても、第二第三のミサイル群の餌食となる。 「無駄に手厚い歓迎だなッ!」  思わず漏れる愚痴。  前後左右ダメで、下も地面に塞がれているからダメ……ってんなら! 「――ハッ!」  上に――正面突破しかねぇだろ。  鋭く呼気を出し、主に背筋と気合でレグナスの頭を上向きに持ち上げながら、重心を後ろに下げて後尾を押し込む。  そうして進行方向が空を向けば、ミサイル群とのご対面だ。  視界を埋め尽くす死の銀塊ども。  大きさは大人が一人で一個抱えて運べるくらい。  速度はこちらの三~四倍……最高で時速四〇〇〇kmってとこか。     
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