7. 世界に蔓延る彩色の宴

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 一発でも直撃すれば衝撃によりこちらは減速され、格好の的となって他のも連鎖的に喰らうことになるだろう。  かすってもアウト。  誘爆してこの辺りの空間ごと火葬される。  俺は物理斥力場を切って、風向・流体制御機構による衝撃波相殺のみ展開。  斥力場の接触もダメだ。  ミサイルに触れずに、全て完璧に躱すしかない。  ファーストコンタクト。  先頭の一発――その左側面に回りこむ。  僅か三cmほどの距離で、丸太みたいなミサイルと交錯。  相殺しきれぬ衝撃波で直線軌道から大きく弾かれる。  外力による予測できない挙動だが、これを活かしつつ殺して包囲網の穴を目指す。  穴は一つ――三本のミサイルが形作る三角形の中心のみ。  動体誘導レーザーに検知されたか、三本のミサイルは中心に向かってわずかに先端を傾けた。  スロットルを全開にし、最高速度まで加速する。  このまま行けば――間に合う!  ミサイル群が眼前に迫る。  手を伸ばせば届く距離。  交錯――【レグナス】の後尾にミサイルの先端が触れそうになって――  ミサイル同士が接触。  後方で三本同時に爆発を起こした。  衝撃に備えるべく物理斥力場をオンに。  折り重なり増大した衝撃波に背中を押され、急激に加速させられて姿勢制御が難しい。  遅れて脳に届く、爆発の多重奏。     
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