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鼓膜が破れそうな痛みの中、ミサイルの発射元を特定した。
前方上空一〇kmに時速五〇〇kmで航行する走空機。
……特定したというか、そいつしかいない。
「割りとデカイな」
空母クラスか。
速度はこちらの半分。
「なら、直ぐにその薄汚ぇケツを掘ってやるぜ!」
『汚いのは貴殿の言葉使いであろう?』
「テメェはもっと気の利いた台詞吐けってのッ!」
……相変わらず無駄に興を殺ぎやがる。
こっちの仕事に対するモチベーションを下げてどうすんだ。
愛機搭載のAIから向けられた辛辣な言葉に悪態を返しつつ、相対距離三km程度まで接近。
旧世代の水上を走る木造豪華客船をモチーフにした外観はまるで普通の旅客型走空機だが、その機体各所から顔を出している火器武装の数々は一体何なのか?
答えは明白。
あれが、俺が追っかけてきた人攫い共の偽装船だってことだ。
再度装填された次弾を撃たせる前に、それこそ弾丸の如き【レグナス】が走空機の後ろに喰らいつく。
走空機の物理斥力場と我が愛機が誇る暴君とまで評された物理斥力場が接触し、眩い火花を散らしたのも刹那。
運動エネルギー及び力場集約率で勝るこちらが一瞬で相手走空機の斥力壁を突破し、ほとんど何の抵抗もなく木造のケツを貫通しやがった。
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