7. 世界に蔓延る彩色の宴

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 拍子抜けだが、巨大な薄い板に超高速の弾丸を打ち込んだみたいなもんだから当然と言えば当然か。  そのまま推進力をオフにして、時速一〇〇〇kmの慣性で船内に飛び込む。  走空機の速度がこちらと同方向に五〇〇kmくらいだから、相対速度は五〇〇kmほど。  空中機動から車輪駆動に位相転位させ、長い廊下に降り立つ。  両輪から白煙を上げて色々すり減らしながら急減速をかけてみたが、元の速度が速度なだけに、すぐに終点が現れた。 ――目前にあるのは壁。  外壁と同じ、木製っぽい壁だ。  とりあえず【天征眼】で目前に迫る壁の材質を計測。  処理速度十倍の脳でそれを解析。  船体によく使われる合金合板だな。  七種類の特殊合金を重ね合わせた強靭なやつだ。  厚さは七cm。  外側だけ木造っぽく加工してる。  その先を探査。  人影が複数……いや、これは無機物――作業用アンドロイドだ。  なら憚ることはない。  真っ直ぐに壁に突撃。 【レグナス】の先五〇cmくらいの空間に展開されている斥力場と合金合板壁が接触。  ミサイルを打ち込んでも表面が焦げつくだけの特殊合金が、その接触点から内側に陥没し、いとも容易く引き裂かれ大穴を穿たれた。  斥力とは、互いを遠ざける力……言い換えれば、二つのモノを引き離す力だ。     
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