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勇二のマンションへ着いたのは、それから十分ほどたってからだった。
「おっ、来たな。まあ、冷たいもんでも飲んで。今晩は泊まっていかんのか?」
リビングのテーブルに着くなり、勇二が孝に聞いた。
「いやあ、勇さんありがとう。けど、今日はお祝いしてもらったら帰ります。なんせ、まだ荷物が残ってるんで。ほれに、新婚さんの邪魔はしたないしぃ。」
少しからかう口調で孝が言うと、勇二が少し照れたように、
「こらこら、大人をからかうもんと違うで。ホンなら、まあ、ネズミに引かれんように気をつけなよ。」
「うん、勇さんと望美さんこそ、仲良うしてな。」
勇二の軽口に、今度は神妙に答える孝だった。
「はいはい、二人ともご飯の手伝いをしてくれるかな?ふふふ。」
二人の間の微妙な空気感を分けるように、望美が微笑みながら言うと、男二人は弾かれたように立ち上がり料理と食器を並べ始めた。
「よしよし、男性諸君!綺麗に並べたわね。さあ、食べましょう。いただきます。」
望美のひとこえで、男たちは一斉に食事に挑んでいた。
「凄い、すき焼きやね。美味しい。望美さんは、料理が上手やわ。」
「あらら、お世辞を言っても、何にもでないわよ。」
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