2人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、その日以来、孝は新しい事が起こる度に母親に相談し、それが彼らの家族の秘密になり、力のコントロールを少しずつ訓練してできるようになっていった。
ただ一度、両親が事故死した日を除いては。
だが、それを止めたのは、勇二の優しい抱擁だった。
何もかも、両親と共に全てが無くなったように感じ、ただただ辛く悲しかった。
グワーッと地鳴りが起こり、家のものが宙に浮き、全てを奪い去るように強風が吹き荒れ、その中心に孝がいた。
誰もが足をすくませる中、叔父の勇二が彼を抱き締め、一緒に泣いていた。
その時から、勇二は孝の良き保護者として、彼を育てはぐくんでいた。
しかし、独身の勇二にも結婚を約束した相手が現れ、孝も勇二の恋人の望美が気に入り、邪魔をしたくないと、マンションを借り一人立ちしようとしていた。
引っ越しを済ませ、荷ほどきをしていると空気が揺らめいたような気がした。
(なんやろ、今の?誰かおるんやろか?変な感じやったなぁ。幽霊?まさかなぁ。)
ホンの少しだが、彼のアンテナ、俗に言う霊感にピリピリと引っ掛かるものがあった。
しかし、それ以上は何も起こらず、孝は考えすぎかと思っていた。
その時、携帯が鳴り、
「あっ、勇さん。うん、これからそっちへ行くわ。丁度お腹も空いたし。ほなねぇ。」
最初のコメントを投稿しよう!