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トラックの運転手が恐怖と安堵感が混ざった表情で、孝を見つめていた。
「あっ、ごめんなさい、大丈夫です。すみません、なんとか、避けられたみたいで、ごめんなさい。」
孝は頭を下げ、トラック運転手に必死で謝っていた。
運転手は、
「いや、僕も不注意やったから、怪我がなかったら、エエんやけど?ホンマに、大丈夫か?」
「あっ、はい、大丈夫です。どこも、当たってないし、引かれてませんから。ご迷惑をかけてすみません。」
そう言って謝っていると、周りの人たちも安心したように別々の方角に消えていった。
トラックも直ぐにそこを離れ、目的地に走り去っていた。
(フィーッ、助かった。ばれへんかったな。良かったぁ。)
孝は自分の力がばれなかった事が嬉しかった。
トラックが孝に当たる直前、孝は地上十メートルの高さに跳んでいた。
跳ぶと言うより、瞬間移動、つまりテレポートしていたのだった。
トラックが止まった瞬間、孝はトラックからホンの一メートルの場所に降りていた。
「あっ、勇さんのとこ行くんやったな。忘れるところやった。なんか、変な感じのんがしてるなぁ。なんやろ?」
翔んだ瞬間から、ムズムズと首筋の辺りがし始めているのを孝は感じていた。
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