いち

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「全然帰ってこないからそんなことだと思ったわ」 今、もう諦めていいわよって呼びに行こうと 思ったとこ そう言って肩をすくめる姿はこの森に似合った あどけない美しさを示していた。 「この2匹とも俺が釣ってね、アレクは」 「あーそんなことだと思った!カナタは要領  いいのよねえ。教えた農業もすぐ自分のもの  にして今じゃ稼ぎ頭だしー。」 一度落ち着いたアレクの顔が別の意味で 赤くなる。 「うるっせえ。たまたまだよ、たまたま!  釣りなんて運だろーがっ」 そうでもないと思うけど、 そんなことを言ったらまたボルテージを あげるだろうとカナタはそっと口に手を当てた。
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