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第五章 トキメキ
「今日の授業、フランス語、やべえ・・・宿題やってねえや」
と独り言を言っていたら、斜め前の席の女の子が、
「長谷川君だっけ?」
と尋ねてきた。
「大場です。」
「ごめんなさい。私、人の名前を覚えるのが苦手で・・で大場君、もしよければ今日の宿題見せてあげるよ。」
というと、きれいな文字で書いてあるフランス語のノートを天の川未来(あまのがわみらい)は見せてくれた。
ドキドキドキドキ、未来ちゃんといえばこのフランス語授業の中でもピカ一、いや、この大学の中でもベスト10に入るくらい美人でかわいい子だった。当然のことながら、和彦は何人かの男子ににらまれていた。
「となり座ってもいい?」
というやいなや、未来は和彦の空いていた隣の席に座った。
ドキドキも最高潮で、フランス語を書いているつもりが、蛇だかみみずだかがはっているような文字になってしまった。
「ねぇどうして、野球やめちゃったの?」
「え・・・?」
「大場君、高校の時野球部だったでしょ?」
「なんで、知ってるの?」
「大場君は知らないと思うけど私も同じ学校だったんだよ・・・・」
と言われ、どこかで、天の川未来という名前が頭の隅にひっかかっていたのがクリアになった。
~第六章 未来へ続く~
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