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第六章 未来
「もしかして・・・あの天の川さん?あまりにも綺麗になりすぎてすぐにわからなかったよ。」
「またまた、お世辞上手なんだから」
未来は、高校生の時はいつも学年トップだったが、髪はみつあみをし、分厚いびん底眼鏡をかけていて、周りからは「がり勉ちゃん」というあだ名がついていたくらいだった。いつも芸能人の噂話に花を咲かせている女子グループの輪には入らずに一人休み時間も静かに本を読んでいる子だった。
「私図書館から、よく、野球部の練習見ていたんだ・・・大場君って決して上手じゃなかったけど、ノックとか最後の最後まで一生懸命追いかけていっていたあの姿が印象的だったんだ・・・」
「それしかできないからね・・・」
「じゃどうして辞めちゃったの?」
未来には、言いたくなかったのだが、野球部の解散式の時に、散々なことを同級生、先生からも言われていたのであった。まぁいつものことだけど。
運動音痴だとか、チームワークを乱すとか・・・それなりにヒットも打っていたつもりだったけど、誰ひとりほめたりしてはくれなかった。
「今度はなんか違うものに挑戦したくてさ」
思わず口ごもってしまう。
「何に挑戦するの?」
「絵画とか?」
口からでまかせに言ったが、和彦の絵は、今でこそ有名になったが、あのピカソばりのわかりにくい絵だった。
「なんだ、じゃ、一緒に美術部行こうよ・」
「え・・・・・」
「それに大場君・・・ダサイよ・・・」
ずばりいていたいとこをつかれた。
「ねぇ今日、学校終わったら、一緒に原宿に行こう!私が大場君をもっとかっこよくしてあげるよ・」
というのがはやいか、和彦の眼鏡をはずして顔を近づけてじっと見つめた。
「返してくれよ!0.1ないんだから、何も見えないんだよ!!」
「ごめん、ごめん。でも眼鏡やめると結構イケメンになりそうよ。私に任せて」
というと未来は、自分の胸をポンとたたいた。
第七章 イメチェンに続く~
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