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「なんだ、白髪か……あ、ここにもある」
「ん?」
僕はクリスタの羽の付け根にあった、黒い羽を指さした。
「あ、ほんとだ~」
少し顔を歪めて、えいっとクリスタはその羽を引き抜いた。
「いてて……」
「ていうかクリスタ、結構、白髪があるんだね。なんだかおばあちゃんみたいだ」
「あ、ひどーい!」
もう今は、キスをした時のような鼓動はおさまっていた。いつものように、会話できる。
「その羽ってさ、痛覚とかあるの?」
「うん、あるよ~」
「じゃあ、羽を抜いたらどのくらい痛いの?」
「ん~……」
クリスタは僕の目の前に来て、
「うりゃ!」
僕の髪を鷲掴みにし、問答無用で引っ張った。
ぶちぶちっと何本か持っていかれた。
「ぎゃぁぁぁああああ!痛い!なにすんだよ」
「え、だってどのくらい痛いかって聞くから……。このくらいだよっ!」
「言えばわかるわ!」
僕がハゲたらどうしてくれるんだ。
クリスタはえへへ~と笑って悪びれる様子もない。
「あ、私ちょっと買いにいかないといけない物があったんだ」
「え、こんな時間に?」
時刻はもう夜の8時をまわっている。
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