0人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「はぁ~、死ぬかと思った…」
なんとか意識を取り戻した僕は、どうにか教室の入り口へとやって来た。
一体全体、どうやったらあんな恐ろしい料理が作れるというんだろう。
「恐るべし、天使シリーズ…」
そう呟いた僕の肩を、誰かが叩いた。
振り向くと、熊倉さんがそこにいた。
「あ、おはよう。熊倉さーー」
熊倉さん。と言いかけて、昨日のことを思い出す。
『同級生なんだから、呼び捨てでいいよ』
熊倉さんの名前は、真弓。いや、いきなり下の名前で呼び捨ては恥ずかしいな。
僕は名字で呼ぶことにした。
「おはよう!熊倉」
「邪魔なんだけど」
「……」
呼び捨てにされたことはスルーされ、挙げ句に邪魔扱いまでされてしまった。
「そ、そうだよね。ごめん」
「……良くなったみたいね」
「え?」
「風邪。もう咳してないし」
ああ、なんだ。風邪のことか。
「うん、熊倉のおかげだよ。昨日はありがとう」
「大したことしてないよ」
熊倉さんは、クスッと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!