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エレナから連絡があったのは僕が気絶から目を覚まして一時間後のことだった。
『私がクマとこれから会う約束を取り付けましたので、インターホンを押したら、クマは私だと思ってすぐに開けてくれると思います』
とのことだ。
クリスタは出掛けているという設定で、エレナの家に行くらしい。
「時間だ……」
携帯で時間を確認して、僕は立ち上がった。
家を出て、すぐ隣。熊倉の家のインターホンを鳴らすと、熊倉が出てきた。
「遅かったわね。エレーーーー」
熊倉は僕を見て固まった。
「熊倉、おはよう。ちょっといいかな?大事な話しがあるんだ」
熊倉は少し迷った様子だったが、ため息を吐いて僕を家にいれてくれた。
「どうぞ」
良かった!ここで断られていたら、僕にはどうすることも出来なかった。とりあえずは、第一段階クリアだ。
「お、お邪魔します!」
僕がリビングで座っていると、熊倉がお茶をいれてきてくれた。
「あ、ありがとう。いやー、今日は寒いね!」
「それで?大事な話しってなに?」
「……」
まずは自然に会話して、それから本題に入ろうとしたのだが、熊倉は目も合わさず切り出した。
怖じけづくな、僕!いけ、いくんだ!
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