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虫メガネの中の二人に、動きがあった。
真彦が熊倉に顔を近づける。
(ーーーーいった!)
ガッツポーズをしたエレナだったが、その手が固まった。
もう少しで唇が重なる。というところで熊倉が、真彦の口に手を押し付けたのだ。
(ーーーーうそ……失敗!?)
これは、予想外のことだった。
熊倉は確かに真彦に好意を抱いていたはず。
それなのに、キスを拒んだ。
固まる真彦に、熊倉が思いもよらない言葉を放った。
『真彦くんの好きな人って、クリスタちゃんでしょ?』
エレナには話しが見えなかった。
(クマ、勘違いをしているんですか?)
真彦は慌てて訂正した。
『ち、違うよ。僕が好きなのは熊倉ーー』
『じゃあ、なんで昨日二人はキスしたの?』
熊倉の言葉に固まったのは、真彦だけではなかった。
(クリスタが……真彦くんと、キス……?)
トイレから、慌ててクリスタが戻ってきた。
「あー、二人とも起き上がってる!どうなった?どうなったの!?」
「しっ!黙ってください」
「は、はい!」
エレナの勢いに押され、クリスタは押し黙った。
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