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『昨日の夜、ね。洗濯物を干してたら、二人の会話が聞こえたの』
熊倉は苦笑した。
クリスタに破壊され、段ボールで補修された窓は、風を防ぐことはできても、防音とまではいたらなかった。
真彦は押し黙ったまま何も言わない。
『私、碧が真彦くんにナンパされたって聞いて、凄いモヤモヤしてたの。今まで誰かに対してこんな気持ちになったことが無かったから、なんでだろうってずっと考えてて……』
うつむく熊倉。表情が見れない。
『もしかしたら私、真彦くんのこと…………』
しばらくの沈黙の後、熊倉は言った。
『……でも、真彦くんは違うよね』
『そんなことーー』
言いかけて、真彦は否定しなかった。
『それが、答えだよね』
『…………』
真彦はうつむいたままだ。
『ダメだよ。好きな人意外にこんなことしちゃ』
『熊倉……』
『話しは終わり。私、この後エレナと会う約束してるから。……もう、帰って』
『……』
真彦は、ごめん。と言って熊倉の部屋を出て行った。
虫メガネで二人を見ていた。クリスタは、エレナに事のいきさつを訪ねた。
「エレナ、さっきまで二人いい感じだったのにどうしてーー」
「クリスタ!!」
エレナは怒鳴った。
「エレ……ナ?」
「クリスタ、真彦くんとキスしたんですか!?」
「え?あ……そっか……。それが熊倉さんにバレちゃったんだ。私の、せいだ」
「どうして、どうしてそんなことをしたのですか!!」
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