6. キスから始まる恋もある!

12/16
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
『昨日の夜、ね。洗濯物を干してたら、二人の会話が聞こえたの』 熊倉は苦笑した。 クリスタに破壊され、段ボールで補修された窓は、風を防ぐことはできても、防音とまではいたらなかった。 真彦は押し黙ったまま何も言わない。 『私、碧が真彦くんにナンパされたって聞いて、凄いモヤモヤしてたの。今まで誰かに対してこんな気持ちになったことが無かったから、なんでだろうってずっと考えてて……』 うつむく熊倉。表情が見れない。 『もしかしたら私、真彦くんのこと…………』 しばらくの沈黙の後、熊倉は言った。 『……でも、真彦くんは違うよね』 『そんなことーー』 言いかけて、真彦は否定しなかった。 『それが、答えだよね』 『…………』 真彦はうつむいたままだ。 『ダメだよ。好きな人意外にこんなことしちゃ』 『熊倉……』 『話しは終わり。私、この後エレナと会う約束してるから。……もう、帰って』 『……』 真彦は、ごめん。と言って熊倉の部屋を出て行った。 虫メガネで二人を見ていた。クリスタは、エレナに事のいきさつを訪ねた。 「エレナ、さっきまで二人いい感じだったのにどうしてーー」 「クリスタ!!」 エレナは怒鳴った。 「エレ……ナ?」 「クリスタ、真彦くんとキスしたんですか!?」 「え?あ……そっか……。それが熊倉さんにバレちゃったんだ。私の、せいだ」 「どうして、どうしてそんなことをしたのですか!!」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!