第3章 悠太の思い

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「ただいま。」 千里を送って家に帰ると、玄関のど真ん中に見慣れたスニーカーが脱ぎ捨ててあった。 「・・・チッ。」 まぁ、いつもの事とは言え、ここまでだらしないと人として信用出来なくなる。 オレは、明後日の方向を向いている靴を揃えると、ため息を吐きながらリビングへ向かった。 「お帰りなさい。お部屋で悠太くんが待ってるわよ。」 「・・・知ってる。」 「そう・・・じゃあ、下りてくるように言って。もうすぐ、お夕飯にするから。」 「ああ。」 悠太は、野球部の練習が終わった後、わざわざ家に帰ってシャワーを浴びてからオレの家に遊びに来るのがほぼ日課になっている。 目的は、ゲームとアオイが作る夕飯なのだろうが・・・いくらアオイが「いいわよ」って言ったって、週の半分は多過ぎだろ? どうせ来るなら、夕飯くらい家で食ってくればいいのに・・・ たぶん、「図々しい」という言葉は、悠太のために作られたんだと思う。 オレは、部屋の前で深々とため息を吐くと、力なくドアを開けた。
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