最終章

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「さてと・・・今日は、どんなメールかな?」 パソコンの電源を入れて、メールボックスを開く。 「フフフ・・・やっぱり。」 留守をしている間に届いていたのは、怒りと失望に満ち溢れた桃からのメールだった。 『コーくん、残念なお知らせです。モモもアイちゃんも、とうとうヒロトに追い越されてしまいました。国が公表している数値が正しければ、差がつくのは中学生になってからのはず。それが、若干9歳にして追い越されてしまうとは・・・ひじきに牛乳、そして食べる煮干しも・・・毎日、出来る限りの努力をしているつもりですが、どういうわけか差は広がるばかりで。最近では、女の子からチヤホヤされて気を良くしているみたいだし・・・そんなヒロトに、アイちゃんもご立腹との事。このままでは、私たちのパワーバランスに悪影響を及ぼす危険性があります。年齢別平均身長・・・あんなもの、嘘っぱちに決まってるわ! 追伸・・・父の「分からず屋」も、とうとう末期を迎えたみたいだし、何だか落ち着かない事ばかり。コーくんからも、何か言ってやって!』 「フフッ・・・アイツらも、そろそろ思春期に入るのかな?」 そういえば、去年の年末・・・家族揃ってこちらへ来た際に、父が頭を抱えながらオレに相談して来た事があった。 「昂・・・オマエ、恋人を誰かとシェア出来るか?」 「・・・は?」 「令和の時代は、人間関係も効率よくシェアするんだとよ。愛だの恋だの言ってるのは時代遅れ。そんな事ですったもんだするのは時間の無駄。だから、昭和や平成の常識を私たちに押し付けないでちょうだい!将来、私と藍ちゃんは、2人でヒロトをシェアしながら生きて行くの。決してどちらかのものにはならないわ!だって。オマエ・・・どう思う?」 「それ・・・桃に言われたの?」 「ああ・・・オレは、ショックでショックで・・・ここのところずっと、1日6時間くらいしか眠れてない。」 「いや・・・それだけ眠れていれば十分だと思うけど?」 とはいえ・・・あの時の父は、そうとう参っているようだった。
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