最終章

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・・・ふーむ? この音信不通な現状を、どう捉えるべきか? 今までのメールを辿ってみても、オレに対する気持ちの変化など、どこにも見受けられない。 ましてや、浮気に繋がる怪しい行動など・・・ でも・・・そんなのは、独りよがりの希望的観測でしかなくて、実際のところは・・・? いやいや・・・オレが信じなくて、誰が信じるんだ? 心の中でそう強く叫びながら、足元を見つめる。 左の足首には・・・あの日、千里がくれた、手作りのミサンガが結んである。 これは、後に届いたメールで知ったのだけど・・・ 本当は、「オレの部屋に来た時に渡そうと思っていたけど、あえて渡さなかった」のだそうだ。 どうやら彼女は、最初から見送りに来るつもりだったらしい。 「どうしても昂くんに渡さなくちゃいけないから、空港まで送って欲しい。」 前日に渡さなかったのは、そう言って親父さんを口説こうとしたからで・・・ 彼女の親父さんは、そんな娘の願いを聞き入れて、空港まで急いで車を飛ばしてくれた・・・というわけだ。 まぁ、病院を休診してまで駆けつけてくれた親父さんには、申し訳ないと思ったけど・・・ もう会えないと思っていたから・・・あの時は、すごく嬉しかった。
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