最終章

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朝起きて寝返りを打った瞬間に・・・足元で聞こえた鈍い亀裂音。 「あ・・・切れた。」 オレは、慌てて布団を捲ると、千切れたミサンガを手に取り、遠い日の自分に思いを馳せた。 『早く千里に会えますように・・・』 そう祈りながら、慎重にミサンガを結んだ、あの日のオレ。 あの時は、まさか4年もかかるなんて思いもしなかったけど・・・ 「もう、そろそろ・・・いいよな。」 オレは、千里との約束を守るために、一度、日本へ帰る決意をした。 そうと決まれば、早いとこスケジュールを調整して、飛行機のチケットを取らなければ! もちろん、教授以外の誰にも言わないけど・・・ でも・・・ いきなりオレが帰ったら・・・きっと、びっくりするんだろうな? フフッ・・・みんなの驚く顔が、目に浮かぶようだ。 そんな事を考えながら、したり顔で時計を見ると・・・ 「・・・うぉッ!」 いつまでも、こうしちゃいられない! 早くしないと・・・教授の講義が始まってしまう! ・・・バサッ! ・・・バタバタバタッ! ・・・バンッ! 願いが叶いそうな予感がする、晴れやかな朝・・・ オレは、いつものように慌ててベッドから飛び降りると、大急ぎでバスルームへ駆け込んだ。
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