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結局・・・講義の時間に間に合わなかったオレは、研究室で報告書をまとめながら教授が戻るのを待つ事にした。
それから、2時間後・・・
「そんなわけで・・・一度、日本へ帰りたいんだけど・・・」
「ふーん、それはいいけど・・・彼女に会わず仕舞いで帰るのかね?」
「・・・彼女って?」
「ほら、私のファンの日本人留学生だよ。名前は・・・何と言ったかな?忘れちゃったけど・・・」
「だから!間に合ってるって言ってるだろ?いいかげん、しつこいんだよ!」
「ふふん ♪」
ふんッ・・・何が「ふふん ♪」だ! 名前すら覚えていないくせに・・・
いったい、オレに、どうしろって言うんだよ!
・・・バンッ!
オレは、教授のデスクの上に報告書の束を乱雑に置くと、強い口調で言った。
「とにかく、コレ!今日まとめた報告書ね。加筆、修正は帰ってからやるから、それまでに読んでおいて。」
「oui」
・・・フーーッ!
この不毛な会話のやり取り・・・いいかげん疲れるんだよなぁ。
オレは、にべもなく研究室を出ると、ドアにもたれ掛かりながら大きなため息を吐いた。
まぁ、しばらくの間、教授から解放されるかと思うと、ホッとする一面もあるけど。
フフッ・・・そう思えば、この状況もまんざら悪くはない。
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