最終章

25/31
前へ
/511ページ
次へ
***** 結局・・・講義の時間に間に合わなかったオレは、研究室で報告書をまとめながら教授が戻るのを待つ事にした。 それから、2時間後・・・ 「そんなわけで・・・一度、日本へ帰りたいんだけど・・・」 「ふーん、それはいいけど・・・彼女に会わず仕舞いで帰るのかね?」 「・・・彼女って?」 「ほら、私のファンの日本人留学生だよ。名前は・・・何と言ったかな?忘れちゃったけど・・・」 「だから!間に合ってるって言ってるだろ?いいかげん、しつこいんだよ!」 「ふふん ♪」 ふんッ・・・何が「ふふん ♪」だ! 名前すら覚えていないくせに・・・ いったい、オレに、どうしろって言うんだよ! ・・・バンッ! オレは、教授のデスクの上に報告書の束を乱雑に置くと、強い口調で言った。 「とにかく、コレ!今日まとめた報告書ね。加筆、修正は帰ってからやるから、それまでに読んでおいて。」 「oui(ウィ)」 ・・・フーーッ! この不毛な会話のやり取り・・・いいかげん疲れるんだよなぁ。 オレは、にべもなく研究室を出ると、ドアにもたれ掛かりながら大きなため息を吐いた。 まぁ、しばらくの間、教授から解放されるかと思うと、ホッとする一面もあるけど。 フフッ・・・そう思えば、この状況もまんざら悪くはない。
/511ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2051人が本棚に入れています
本棚に追加